天河水とは

天河水…これを、「てんかすい」と読む人も 少なくありません。 或いは「てんがすい」とも。

どちらも間違ってはいないのですが、私はあえて 「てんかのみず」という、なんとも心地よい響きが 気に入り、迷わず院名にしました。

有名な自由律俳句の俳人に、萩原 井泉水(せいせんすい)や種田 山頭火(さんとうか)がいます。彼らの持つ俳号は『納音(なっちん)』からとられたものです。当院の「天河水」も、私の生まれ年の納音からとったものです。

六十干支(干支のこと)と、五行の木火土金水とが集合すると伴う、音律のことです。
納音は30種類あり、生まれた年の納音は世代的なものを、生まれた日の納音はその人の本質に影響するそうです。

天河水の性質

天から注ぐ雨や露の水が集まって河となり、万物を潤すように盛んな気で、午未の地に水気を施し人のために尽くす。また、人に愛情を及ぼし敬愛される徳を持つ。
時に、気まぐれで移り気なところがあり周りを振り回す。

どうでしょう?この納音の影響が、治療にも反映されればいいなと思っています。
気まぐれや移り気は、仕事以外で発揮させていますから、ご安心を。。。

余談ですが、山頭火の俳句は個人的に好きです。彼はたいそうな実家でありながら酒に溺れ、晩年は雲水になるも放浪の旅をし、そこでも酒と水を好みました。酒で身を崩した俳人ではありますが、その句からは切なくも、ぬくもりが感じられます。
彼の生まれ年の納音は「楊柳木(ようりゅうのき)」だそうで、俳号の「山頭火」とは気に入った納音を使っただけなのだそうです。

「水に影ある旅人である」        種田 山頭火

治療方針

心理学上でよく用いられる「ハリネズミのジレンマ」の話をご存知でしょうか。
寒い冬、ハリネズミは寒さをしのごうと、もう一匹のハリネズミと抱き合って暖め合おうとしますが、お互いの針が邪魔をして相手を傷つけてしまうのです。
しかし、抱き合わなければ寒さで凍えてしまう。そんな寒さと痛さのジレンマの中で、程良い距離を見つけていくのです。
 
少しずつ少しずつ、距離を測っては近づいていくのか、はたまた同じ針の長さを持つ仲間を新たに見つけていくのか・・・・方法はきっと様々。何度も何度もあれこれ試しながら、学び取っていく微妙な距離感。
それは、人間関係にはもちろんのこと、どんな場面=学習という広義の意味でも通ずる事ではないでしょうか。私の扱うハリも繊細ですから。
ハリネズミというと、一見してトゲのあるイメージですが性格は温厚で(種類によって差はあるようですが)、こちらから危害を加えなければ、決して針を立てることなくペットとしてもよくなつくそうです。
誰をも傷つけることのない、痛みのない、温かみのある治療を新たな治療方針として、またその事を忘れないよう「ハリネズミのテンカ」は天河水の新しいマスコットとして生まれました。 どうぞ末永く、かわいがって下さい。